家族信託とは
家族信託とは、自身の財産を信頼できる親族に託し、特定の人（委託した本人である場合が多い）の為に、特定の目的に沿っての委託された財産の管理・処分することをいいます。
つまり財産を委託する人が健康であるうちに、将来病気になったり、認知症になることを見据え事前に対策をするという意味合いも持っています。
似たような制度に成年後見制度がありますが、家族信託との大きな違いは財産の柔軟な処分ができることと、親族に委託してしまえば委託者が健康なうちであっても財産管理を任せられるという点です。では家族信託の仕組みと具体的なメリット・デメリットを説明していきましょう。
【家族信託の流れ】
家族信託はまず、3つの用語が出てきます。それぞれ、委託者・受託者・受益者になります。委託者とは、財産を実際に持っている人のことで、信頼できる親族に財産の管理を委託する人のことをいいます。受託者とは、委託者から財産管理・処分を託される人のことを指します。最後に受益者とは、受託者が財産管理や処分をおこなうにあたって恩恵を受ける人のことを指します。
まず、委託者は親族の中で信頼のできるひとを受託者に選びます。次に委託者は信託契約の具体的な内容を決め実際に書面に起こします。その内容に受託者が了承したら契約をおこない信託が始まります。受託者は委託者の希望である契約内容に沿って、財産管理と処分を進めていきます。
【家族信託をおこなうメリット】
先ほどまでは家族信託におけるおおまかな流れを説召しました。次に家族信託における具体的なメリットを考えていきましょう。家族信託をおこなう利点は、おもに3つあります。
1 、家族信託は委託者兼受益者である自身が健康なうちから受託者に財産管理を任せることができます。仮に自身が認知症や病気などで判断能力が低下した場合でも、すでに受託者へ財産を委託しているので滞りなく管理や処分がおこなえます。
2 、家族信託には遺言の機能が備わっています。その為、契約内容に委託者の死亡した後の信託した財産の分配を記載しておけば、それに沿って受託者が分配してくれるのです。
3 、家族信託は相続の不動産トラブルのリスクを低くすることができます。不動産は、他の相続財産とは異なり、売却しないかぎり公平に分配することがむずかしい遺産になります。しかし、家族信託で財産を委託された際に、委託者名義の不動産を受託者に名義変更をしておくことにより相続人の共同名義などで必要になる実印の押印が得られないといった問題を事前に回避することができます。
以上が家族信託のメリットでした。おもな注意点について考えてみましょう。
【家族信託をおこなう上での注意点】
・家族信託には遺言書の機能が備わっているが、あくまで信託した財産に限ってのことであり、それ以外の財産に関しては遺言書が必要になるので注意が必要です。
・資産の一部、もしくはすべてを信託財産に入れた場合、そこから円環3万円以上の収入があると信託計算書・信託計算書合計表を税務署へ出さなくてはならず、税の申告の手間が増えてしまいます。
・信頼のおける親族がいないとそもそも家族信託ができないので注意が必要です。
以上が家族信託の注意点になります。
家族信託は生前対策としてたくさんのメリットがあります。ただし、契約によっては不動産登記など、複雑な手続きが必要になってくるケースもあります。その為、家族信託をお考えの方は一度、専門家に相談してみることをお勧めします。
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