相続税申告を行うときの全体の流れ
相続税が発生した場合、被相続人の死亡日の翌日(もしくは死亡を知った日の翌日)から10ヵ月以内に納税、もしくは相続税の申告をおこなわなければなりません。また相続税を支払わなくても、特例や配偶者控除を利用したときにも申告が必要になります。では、ここで相続税の申告の流れと、申告が必要な場合について考えていきましょう。
基本的な相続税の申告の流れ
まず、自身が相続した遺産に本当に相続税が発生するかどうか確認する必要があります。相続税が発生するかどうかは相続税の基礎控除額を超えるかどうかになります。基礎控除額の算出方法は3000万円+(600万円×法定相続人の数)です。
例を出すと、被相続人の法定相続人が3人であった場合、以下のように基礎控除額が計算されます。
3000万円+(600万円×3)=4800万円
以上のように、基礎控除額は法定相続人の数によって異なりますので、法定相続人が多ければ多いほど基礎控除額の金額が大きくなることとなります。
被相続人の残した財産が超えていた場合、基本的に相続税が発生することとなり、申告が必要になります。また、相続税は累進課税制が採用されており、基礎控除額から超えた金額によってかかる税率が異なります。最小は10パーセントで、最大55パーセントにまで税率があがります。そのため、いかに金額を小さくすることが大切になります。
次に、相続税の支払いについておはなしを致します。相続税の支払い方法は3種類あります。1つ目は現金で納付する方法、2つ目は預貯金口座から納付する方法、3つ目は物納や延納をおこなう方法になります。
相続税は基本的に現金納付となっています現金納付が難しい場合、申告をおこなうことで延納や物納することが可能になります。ただし、自己都合での延納や物納は出来ないので注意が必要です。なお、延納・物納ともに税務署の審査を通過しなければおこなうことはできません。
次に相続税の申告をおこなう書類についておはなしさせて頂きます。相続税の申告に必要な書類は何を相続かによって異なります。また、税務署に提出が必要なものと、提出する必要はないが相続税の計算するにおいて必要にある書類と多岐に渡ります。そのため、まず自身が被相続人の遺産の何を相続するのかをしっかり把握する必要があります。
なお申告する上で共通して必ず必要な書類は以下になります。
・被相続人のすべての相続人がわかる戸籍謄本(相続開始から10日を経過したもので、出生から死亡まで連続したもの)
・被相続人及び相続時精算課税適用者の戸籍の附票
上記2つと土地を相続した人・建物を相続した人・現金・預貯金などを相続した人、というようにそれぞれ提出する書類が違ってくるのです。
以上のような手順を踏んで10ヵ月以内に申告を所轄の税務署へしなければなりません。かなりたくさんの書類を10ヵ月という短い期限で集め、また計算を行う必要になるのでかなりの手間がかかります。しかしながら相続税の申告を怠ったり、不備がある場合、ペナルティとして追徴課税をされることがありますので税の申告はかならず期限内におこなうようにしましょう。
相続税を支払わなくても税の申告をしなければならないケース
冒頭でお伝えしたとおり、相続税を支払う必要がなくても税の申告をしなければいけない場合があります。それは、配偶者控除や小規模宅地等の特例を利用した場合になります。この2つは相続税の金額をかなり減らすことのできる制度になります。では、具体的にどのようなものなのかを次に説明したいと思います。
・相続税の配偶者控除
相続税の配偶者控除とは、配偶者の遺産総額が配偶者の法定相続分、もしくは1億6000万円のどちらか大きい金額まで相続税が課されないという制度になります。なお、配偶者の法定相続分は誰が法定相続人になるかによって異なっており、以下のようになります。
1 配偶者のみの場合 遺産のすべて
2 配偶者と子どもの場合 遺産の2分の1
3 配偶者と被相続人の親 遺産の3分の2
4 配偶者と被相続人の兄弟姉妹 遺産の4分の3
以上のように算出されるので、1億6000万円の方がよいのか、法定相続分の方が大きいのかを確認しておくことが重要です。
・小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例とは被相続人が利用していた自宅・店舗・事務所などとして利用していた宅地を相続する際、宅地の一定面積までを本来の評価額から80パーセント減額できる制度です。おもに適用される人は、配偶者と被相続人と同居していた親族になります。法定相続人でない親族であっても適用される場合がありますが、適用条件がさまざまにあるので、特例を申請したい場合は事前に自身が適用の範囲内なのか確認をしておきましょう。
以上の2つの制度を利用するためには10ヵ月以内に税の申告をおこなわなければなりません。制度を利用して、相続税の支払いが必要なくなったときでも、税の申告をおこなわないと適用されません。万が一、期限内に税の申告をおこなわなかったときには、2つの制度が利用できなくなる可能性もあるのでしっかり期日内に申告をしておきましょう。
しかしながら、相続税の申告は非常に手間がかかりますし、不備があった場合に追加で課税されてしまう危険性があります。ましてや、被相続人に近しい方は更にお葬式を執りおこなわねばならなかったり、遺品の整理をしたりと多忙を極めることでしょう。そんな時には一度、専門家に相談することも方法のひとつといえます。
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